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戦争の違法化② シリア

私「いやー、授業を一週間サボってしまった。皆すまん」



一同「休講うれしーい!」



私「なぜリビアに対する多国籍軍は派遣できながら、シリアにはできないと思う?」




イチロー「多国籍軍って、なんですか?」


私「アンポリ決議に…」




アンポリ「みゃー」




私「…安保理決議に基づいて各国が軍隊を提供してつくる。各国軍隊の寄せ集めだ。統一した指揮系統はあるが、普通の軍隊とは違う。安保理に対する報告義務もある」


イチロー「国連軍ではないんだ」




私「違う。リビアには派遣された。リビア市民を“保護する責任”決議に基づいて多国籍軍が派遣されたんだ。なぜシリアではできないと思う?」




イチロー「安保理だ」


アンポリ「みゃー」

私「そう。リビアの時は中国、ロシア(P2)が拒否権を使わなかった」

ハナ「P2ってなんですか?」


私「5つの常任理事国をP5というから、中国・ロシアをP2、英・仏・米をP3と便宜上呼ぶ」




イチロー「弁理士を呼ぶのか」


ケンジ「便宜上、そう呼ぶんだろ」


私「シリアに対する強制措置についてP2は常に拒否権を使って反対してきた」

イチロー「出っ歯を直すか」


ケンジ「それは歯科矯正だろ」




ハナ「強制措置は、説得や支援ではなくて経済制裁、資産凍結から軍事的な介入までを含むのよ」


私「そうだ。だがなぜP2の態度が変わったと思う?」


イチロー「利権」




ケンジ「癒着」




ハナ「バランス・オブ・パワー」


私「そうかもしれない。そんな理由なら今後いくらでも出て来るだろう。もっと根本的な疑問がある。今日のゲストはブラジル連邦共和国大統領のジルマ・ルセルだ」




一同「おー、現職の大統領だ!」


私「ジルマ、R2P保護する責任の問題点をキッズに教えてやってくれ」




Dilma Rousseff「Much is said about the responsibility to protect; yet we hear little about
responsibility in protecting. These are concepts that we must develop together.」参照1




一同「えー、日本語になってない!」




私「おー、自動翻訳機が故障だ」




イチロー「翻訳機の中でアンポリが寝てます!」


ケンジ「先生の座布団に移せ」

ハナ「やさしくね」




アンポリ「ミャー」


ジルマ「保護する責任についてはたくさんの議論がありますが、保護している間の責任については語られていません。私達はこの視点から理念をさらに発展させなければなりません。それでは皆さんさようなら」




イチロー「去るのが早い!」




ケンジ「おばさん、行っちまった」




ハナ「何か話がややこしくなってきた…」




私「保護する責任を全うするために、軍事的な視点からみれば独裁政権の体制変換しかない。強制行動の目的をそこにもってくるのは理論的だ。しかし、保護する責任の理念からははずれている。ジルマはそこを問題にしたんだ。つまり、保護する責任によって強制行動が取られた時に、保護している間の責任も規律しなければいけない。R2Pに加えてRWP(Responsibility
While Protecting)というわけだ」


ハナ「えー、もっと説明して下さい」


私「うん、夏休み明けで調子が出ないから次回にする。アンポリおいで、パソコンの裏で寝なさい」




つづく




参照1 STATEMENT BY H. E. DILMA ROUSSEFF, PRESIDENT OF THE FEDERATIVE REPUBLIC OF BRAZIL,

AT THE OPENING OF THE GENERAL DEBATE OF THE 66TH SESSION OF THE UNITED NATIONS
GENERAL ASSEMBLY, 21 September 2011,
http://globalr2p.org/media/pdf/Brazil.pdf accessed Sep8, 2012