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リビアと保護する責任①

昨日の朝6時45分、ロケット砲と手榴弾で武装した男にリビアのICRC赤十字国際委員会が襲われた。
当時7人いたスタッフは無事だったが、建物は大きく破壊された。
リビアでICRC赤十字国際委員会が襲撃されるのはこの3ヶ月間で5回目。
これを受けてICRCはリビアのミンサラとベンガジから一時撤収する。

ハナ「えー、どうして?赤十字は医療活動をしているだけじゃない!」
私「その通りだよ」
ハナ「怪我している人や病気の人を助けてるだけでしょ?」
私「そうだ」
ハナ「無料でやっているんでしょう?」
私「そうだよ」
ハナ「それなのに、どうして攻撃しなきゃいけないの?」
私「わからない」
ハナ「政治や宗教とは一切関係ないんでしょう?」
私「そうだ」
ハナ「なぜ攻撃するの?」
私「わからない。わかるのは、この3ヶ月で5回攻撃されたっていうことだ」
ハナ「撤収したら患者さんは死んじゃうじゃない!」
私「そうかもしれない」
ハナ「何よそれ!私はそんなの絶対許さないわよ!」
ケンジ「泣かなくてもいいだろ!」
私「紛争地での医療活動はそういうものだ。危険を冒しても残って続けるか、一時撤収するか、というギリギリの判断を迫られる。撤収すれば活動は後退する。
続ければスタッフの命の問題になる」

ハナ「どちらかしかない..」
私「そうだ。現場で医療活動をしているICRCにはどちらかしかない。目の前の被
害者を救うことはできるが、紛争の原因を取り除くことはできない」

ハナ「原因を取り除くのはだれの仕事なの?」
私「政治だ」
イチロー「おーっ、俺は医者じゃなくて政治家になるぞ!」
ケンジ「おまえ何か軽いんだよなあ」
私「いや、軽くていいんだ。だからキッズ地球防衛隊に皆が期待してるんだよ」
ハナ「先生、今日は何か別人ね。コブラツイストをしてたのと違う人みたい」
私「えっ、私がそんなことしたか?」
ハナ「ヘッドロックもした」

私「いや、えーっと、今日はリビアと保護する責任の話だったんだ。次回に持ち
越すからね。今日はこれでおしまいにするよ」

つづく

犬塚直史(いぬづかただし)