イチロー「結局大人達はまだ本題に入ってない。戦争が終わった直後は本気だったけど、あとは違う所をグルグル回ってる」
ハナ「でも、ICRC赤十字国際委員会、MSF国境なき医師団、Peacekeeping国連の平和維持活動の話なんか凄かったなあ。他にも私達の知らない活動が五万とあるのよ」
イチロー「それはみんな現場の活動だろ?」
ハナ「そう」
イチロー「“目の前の患者を救うことは出来るが、紛争の原因をなくすことはできない”っていってたじゃないか」
ハナ「だからICC国際刑事裁判所とかR2P保護する責任とか出てきたんじゃない?“許し難い犯罪”に直面している人達を“保護する”っていうことだけを考えれば、間違いはないわ!」
ケンジ「だけ、を考えるってのが怪しいんだよ」
イチロー「そう、リビアがそうだ。結局あそこまで行くと、保護するだけ、というのは会議室で言うことで、現場ではカダフィー政権の転覆まで行かないと終わらない」
ケンジ「だから“保護する責任”ってのは怪しいんだ」
ハナ「怪しいんじゃなくて、だから21世紀のピースキーピンングが必要だ、必ず俺たちがやってみせるぜって、啖呵切ったでしょ!」
ケンジ「いや、発展途上国が“形を変えた植民地政策”だっていうのも一理あるってことだ」
ハナ「それは違う!主権国家の中では何をしてもいいけど、アトロシティー・クライムはだめよ、ってことでしょう?結局アトロシティー・クライムがだめっていうのは、法律で決めるまでもないってことよ。侵略とか奴隷売買とかもその内はいってくるわよ。こんな基本的な人権侵害を止められない国に“内政不干渉”はいえないってこと」
イチロー「だから、人類共通の敵であるアトロシティー・クライムを止めるためなら、南北問題を超えて国連でも合意されたんだ。この辺は明日の講義で詳しくやるはずだ」
ケンジ「興味津々ってとこだな」
犬塚直史(いぬづかただし)