私「敵のいない軍隊なんてあり得ると思うかい?」
ハナ「言葉遊びみたいに聞こえるけど」
私「いや、そうじゃないんだ。1956年の11月に本当にすごいことが起こったんだよ。国連緊急軍(United Nations Emergency Force 1, UNEF1)がスエズ動乱に展開したんだ。これが国連の平和維持活動(Peacekeeping、ピースキーピング)の始まりなんだよ」
イチロー「ピースキーピングってPKOのことなんでしょ?」
私「そうだよ」
ケンジ「ガンダムみたいのが出ると思った」
私「いや、ピースキーピングはガンダムより、宇宙戦艦ヤマトより、スタートレックより凄いと思う。人類の歴史でこんな軍隊はいなかたんだ」
ピースキーピングとは:公式の定義はありませんが次のように理解できます。
「世界の平和と安定に脅威となるような地域的な紛争勃発に際して、国連の権威を代表する軍事組織を紛争地域に展開・駐留させ、そうした軍事組織の存在自体によって紛争を平和裏に解決しようとする国連の活動である」。
国連憲章にも記述されておらず、国連創設者も予定していなかった機能を、ハマーショルド事務総長(当時)のリーダーシップで、実践活動のなかから生み出したものなのです。
ハナ「よくわからないわ。国連をつくった人達も考えてなかった?」
イチロー「国連憲章にも書いてないって、どういうこと?」
私「すこしおさらいをするよ。大切なところだから良く聞いてね。国連の目的は世界平和だって話は覚えているだろ?」
ハナ「戦争の惨害から次世代を救う、ってところね」
私「そうだ。第二次世界大戦で4,000万人といわれる人達が犠牲になって、二度と繰り返すまいという気持ちで国連憲章が書かれたんだよ」
ケンジ「でも各国の意見が合わなくて、平和がつくれないんでしょ?」
私「そうだ。そもそも第一次世界大戦の後に国際連盟がつくられていたんだが、平和つくりに失敗して第二次世界大戦が勃発してしまったんだ」
ハナ「こりずに同じものをつくったの?」
私「いや、国際連合は“牙のある国際連盟”といわれていて、世界の警察機能、つまり世界軍をつくろうとしたんだよ。そんな発想は国際連盟時代には全くなかったんだ」
イチロー「やった!やっと出て来たぜ。世界警察、地球軍!」
ケンジ「銀河防衛隊だ!」
私「違うって!(今日は調子良かったんだが、世界軍なんていうんじゃなかった
..)
つづく
犬塚直史(いぬづかただし)