「平和と安全に至る道は一つしかない。それは超国家的な組織(SupranationalOrganization)をつくることだ。一国の視点で防衛能力を高めることは一般的に不確定性と誤解を生み出し、効果的な安全保障にはならない。」
これはアルベルト・アインシュタインの言葉です。
ノーベル賞をとったあの物理学者のアインシュタインです。
どうして物理学者が、政治的かつ複雑で困難な問題である「安全保障」などという分野に口を出すのでしょう。
「試験管で平和がつくれるか!」
と怒られそうですが、時代背景を考える必要があります。
第二次世界大戦で4,000万人といわれる犠牲者を出した後に、
「Never Again、もう二度と同じ過ちは繰り返すまい」としてつくったのが国際連合(国連)です。
しかしその国連も世界の平和維持にはあまりにも力不足であることが明らかになるにつけ、米国では国連改革を求める100万人規模のデモが行われたそうです。
国連と言っても結局は大国のパワーゲームの舞台にしか過ぎず、
「世界の警察」
「世界の裁判所」
「世界の大蔵省」
ましてや「世界連邦」などという大それたものではなく、単なる主権国家の集まり(International)であって、超国家的な組織(Supranational)ではないことが明らかでした。
「超国家的なそーしき?太平洋に散骨するのか?」
「葬式じゃなくて組織だって!」
「ちょーかわいい組織?うーん、何となくワクワクするな」
「ちょーかわいい、じゃなくて超国e家的!」
世界大戦が終結した開放感の中で、国連に対する期待感も大きなものがあったのでしょう。
今では「世界連邦」などというと「テレビゲームのやり過ぎ?」
と思われそうですが、当時はまったく違った雰囲気で語られていたのでしょう。
この頃、アインシュタインだけでなく、日本では湯川秀樹博士が世界連邦運動を日本で主導しました。
宇宙の謎に少しでも迫る研究をする物理学は、最終的には分子・原子・素粒子という極小世界の研究に結びつくそうですが、同じように、人間社会がどうやったら戦争をやめることができるのかという研究は、宇宙を構成しているエネルギーや物質の法則に結びつくのかもしれません。
また、核の軍事利用というパンドラの箱を開けてしまった人間社会に対する不安が彼らを「WFM世界連邦運動」に結びつけたのかもしれません。
もちろん「核の国際管理」もWFMの主要課題の一つです。
しかし、いずれにしても、いかにノーベル賞をとった天才物理学者のいうことであっても、
「超国家的な組織」をつくるなどという話をあなたはイメージすることができますか?
アインシュタインは「スープラナショナル・オーガニゼーションSupuranational
Organization」と英語で表現したのですが、これは一体何の話なのか?
次回から詳しくお話をして行きます。おつきあい下さい。